患者の気持ち

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発達障害を考えるにあたり

発達障害を考えるにあたり

「発達障害」最近よく聞く言葉です。
時には「発達」だね。という言葉さえ聞くことがあります。なんだかよく分からないうちに言葉だけが一人歩きしている気がすることもあります。まず、「発達障害」とは何でしょうか?

発達障害は、子どもが発達していく過程のどこかに(出生前あるいは幼児期、学童期に)問題が生じてくることを指しています。 さらに、精神的な症状ではなく、認知(理解、行動する過程)に問題があり、生活・学生上に問題を生じている状態と考えればわかりやすいと思います。

では、どうやって、自分の子どもの特徴や得手・不得手を知ればいいのでしょうか? また、どこに、どのように相談すればよいのでしょうか? ここでは、子どもにかかわるすべての方へ発達障害がよくわかる特集をお届けしたいと思います。

最近の子どもに見られる問題

最近、子どもの心に変化が起きていると言われています。具体的には、問題行動が低年齢化し、何でもないと思っていた子どもが思い当たる原因もなく、突然変わってしまうかのようにみえます。
このような子どものこころの変化を探っていこうと思います。

具体的な変化

男女別の行動の特徴

以前であれば思春期になってからみられていた「他の子ども、親に対して暴力をふるう」といった問題行動が、今は保育園、幼稚園、小学校低学年の頃から見られるようにもなってきました。
例えば勉強熱心で頑張っていた子どもが、突然キレル、パニックを起こすなどの問題行動、普段のおとなしい状態から突然暴れだし、その時のことを、子ども自身がはっきり覚えていない、という例です。

子どもの精神や行動に問題が発生する4つの原因

発達障害に限らず、子どもの精神や行動の問題が生じる背景には、主に4つ原因があります。

1. 子どもがもっている素質

生まれながらにもっている、遺伝子、出生前環境による素質:発達障害など

2. 発育環境

両親との関わりなど、生後の発育環境(極端な例は虐待、ネグレクト)

3. 社会との関係

学校、地域など、集団生活での社会との関係

4. 偶然起こる出来事や出会い

社会的成熟とトラウマ

子どもの発達の段階に注目

子どもの発達の段階に注目

発達障害を理解するためには、まず子どもがどのように発達していくか、大人になるまでの間に必要な「発達の段階」を知ることが大切です。この段階のどこかがうまくクリアーできていない場合が発達障害と考えられる子どもたちです。多くの方は、発達障害と聞くと「病気」というマイナスの面でとらえてしまいがちですが、大きな違いは、病気は治療という過程で良くなりますが、発達障害の子どもは発達してゆくことで症状も改善してゆきます。

1歳頃

愛着…母親との間に特別な絆が形成され、人に対しての基本的な信頼感が育っていく

この頃の子どもは基本的に母親と離れず、くっついて過ごします。それにより安心するわけです。
こうした関係から絆が生まれ、母親が自分をいつも見守ってくれる対象と認識していきます。どんな苦しいことがあっても、母親がいるから生きていけるという、絶対に安心できる思いを持つことを「愛着」といいます。愛着の目標は、思春期以降に独立して生きていくだけの基盤を持てることです。

一般的に1歳頃までに「愛着」が形成される準備が整いいます。

発達障害のある子どもは、生まれながらにもつ本人の資質などが原因となり、この年齢が遅れる傾向があります。 例えば、アスペルガー症候群では、3~4歳頃にこの時期がくるといわれています。

最接近期…子どもが愛着を持ちながらお母さんから少し離れてみようと思う時期

1歳半頃に子どもはお母さんから少し離れていきますが、すぐに不安になって後ろを振り返ります。そうしたときに、お母さんが見守ってくれていれば、愛情が確認できます。この発達段階を越えて、自分は愛されているという確信が出来、さらに一人で離れることができるようになります。 一般的に1~2歳頃に「再接近期」をむかえます。

愛着の確認ができていない場合、いつも人の愛情を疑ったり、愛情を確認するための行動(試し行動)をとってしまったりします。思春期や成人期になってからの自殺未遂や自傷行為、薬物中毒などにつながります。

こうした場合に親ができるのは、「子どもを見守る」ことです。
信頼感や愛情を育むことを意識し、子どもを親はほんの少し高い位置から見守るような立場からで、見守ることが大切です。

共同注視…人の視線の方向に気付き、相手と同じものに注意を向ける

共同注視とは2人が肩を並べて1つの対象を眺めることです。同じ物を見て、同じようなことを感じると思うことで2人の間に特別な関係が生じます。この認識が2人の愛情につながるのです。
※恋人同士が映画を見に行って、同じ場面で笑い合って、愛情が深まることと同じです。

一般的に1~1歳半頃に「共同注視」が形成される準備がととのいます。発達障害のある子どもは、生まれながらにもっている本人の素質などが原因となり、この年齢が遅れる傾向があります。 ASD(自閉症スペクトラム障害)などに見られる、他人の気持ちがわからないという部分は、この共同注視が発達していないからだと言われています。ですから、見つめ合って理解する前に、共に寄り添って同じところを見るようにしてみましょう。

こうした場合に親ができるのは、「子どもと気持ちを共有する」ことです。 同じものを見て、笑い合ったりすることで、子どもと感情を共有することができます。

社会的参照…社会的な「良いこと」「悪いこと」を他者に問い合わせる

この頃の子どもが何か行動しようとする時には、お母さんを見て「これをしても、大丈夫?」といった顔をします。
そのときに、お母さんが「大丈夫だよ」「駄目だよ」というふうなサインを出してあげることで、社会にとっての「良いこと」「悪いこと」を学んでいきます。

一般的に1歳頃に「社会的参照」が形成される準備がととのいます。 発達障害のある子どもは、生まれながらにもっている本人の素質などが原因となり、この年齢が遅れる傾向があります。

一般的に、お店に欲しいものが並んでいたとしても、まず盗もうとしません。盗もうとすると、何か妙な感じがするからやめるという、原始的な判断がはたらいているからです。間違ったことをすると変な感じがするという感覚の原点が、この社会的参照です。 この社会的参照が育たなければ、後々、犯罪などの反社会的な行為をしてしまう原因にもなるかもしれません。

こうした場合に親ができるのは、「子どもに対して「良いこと」「悪いこと」のサインを出す」ことです。
親に社会的判断を求めてきた子どもに対しては、はっきりと「良いこと」、「悪いこと」のサインを伝えてあげることが大切です。
出来ればなぜなのか、こどもの立場でわかるように説明してあげましょう。

2歳頃

自我の始まり…外界に向いていた目が、自分自身に向く

この時期になると、自分自身の存在を意識できるようになり、それまで外界に向いていた目が自分に向かいます。その頃から、自分がどんな人かを考える様になります。このことを自己意識(自我)といいます

一般的に2歳頃に「自我」が形成される準備がととのいます。 発達障害のある子どもは、生まれながらにもっている本人の素質などが原因となり、この年齢が遅れる傾向があります。

自我が育たないと、自分自身を大事にしなくなってしまいます。不安定な自分であれば、社会にどのように関わっていくか、協調していけばいいのかを考えることができなくなってしまいます。

こうした場合に親ができるのは、「子どもの意図を大切にする」ことです。
子どもが他者の意図と自己の意図を統合して自己の意志を形成していくことが自我の芽生えです。
子どもの意図を大切にしてあげること、親の意図だけを押しつけないことが大切です。

3歳頃

他人の気持ちが分かる…他人の立場でものを考えることができる

この時期になると、これまで他人に接してきた経験によって、他人の気持ちや状態を、ある程度理解できるようになります。

一般的に3~5歳頃に「他人の気持ちがわかる能力(こころの理論)」が形成されていきます。 発達障害のある子どもは、生まれながらにもっている本人の素質などが原因となり、この年齢が遅れる傾向があります。

他人の気持ちがわかる能力が育たないままで成長すると、後々ASD(自閉症スペクトラム障害)の状態につながっていきます。

こうした場合に親ができるのは、「説明する」ことです。 親が自分の気持ちを説明しながら行動していくことが大切です。 決まり切った礼儀に当てはめるのだけではなく、相手の立場やこころの状態を考えさせるようにしましょう。

4歳頃

自律…自分の感情をコントロールする

子どもは3歳頃になると1人でどこへでも移動できるようになりますが、自由に動きまわりたいと思っても、親は危険を回避するためにも子どもの行動を制限せざるをえません。
このような親との間の衝突を、反抗期と言います。
子どもの反抗は、自律機能が発達することによっておさえられます。
自律とは、自分の感情をコントロールすることです。
自律がしっかり育った子どもは、今後の生活の中で社会に適切な行動をとることができるようになります。

一般的に3~4歳頃に「自律」が形成される準備がととのいます。
発達障害のある子どもは、生まれながらにもっている本人の素質などが原因となり、この年齢が遅れる傾向があります。

4歳以上になっても、自律(社会に適切な行動をとること)が育っていないと、後々ADHD(注意欠如・多動性障害)につながっていく恐れがあります。

こうした場合に親ができるサポートは、「我慢の大切さを教える」ことです。
良いこと悪いことは、周囲の状況、社会的規範から決まります。 周囲の状況をわかりやすく説明してあげること。がまんすることの大切さを教えてあげましょう。我慢をすることで報われることを教えましょう。
ここからは、父の役割(社会的規範)が重要になってきます。お父さんしっかりしてください。

6歳頃

勉強に必要な能力が育つ

6歳頃には、子どもの心に、ものを学びたいという欲求が芽生えだし、「集中する」、「座っている」、「覚える」、「書く」、「計算する」、などといった勉強に必要な能力が発達していきます。
一般的に6歳頃に「勉強に必要な能力」が形成される準備がととのいます。学習レディネスといいます。 発達障害のある子どもは、生まれながらにもっている本人の素質などが原因となり、この年齢が遅れる傾向があります。

6歳以上になり、勉強に必要な能力が育っていないと、LD(学習障害)や、ADHD(注意欠如・多動性障害)につながる恐れがあります。 親は、子どもが学習をはじめるまでの間に、上記であげた能力をきちんと育つサポートをしていく必要があります。

こうした場合に親ができるサポートは、「学校の様子を予習する」ことです。 家の中の環境作り、学校で行われる様子も予習してみましょう。学習する姿勢、話すこと、聞くこと、書くこと、計算することなど日常生活のなかに取り入れて行きましょう。 散歩、遊び、食事、入浴など、学習の準備が出来る機会は日常の中にもいくらでもあります。

10歳頃

自尊心が育つ…自分を大事にし、どういう人になりたいかを考えることができる

10歳頃には、自分がどういう人(理想像が必要です)になりたいかを考えはじめ、同時に自分を大事にする心や、自分に対しての自信や誇りが芽生え始めます。
このときに、親からほめられる(小学校低学年)だけではなく、「みんなの前で先生からほめてもらった」といった経験を持つことが重要です。このような気持ちを自尊心と呼んでいます。

一般的に10歳頃に「自尊心」が形成される準備がととのいます。
発達障害のある子どもは、生まれながらにもっている本人の素質などが原因となり、この年齢が遅れる傾向があります。

この自尊心が欠如すると、社会生活を送るために大切なセルフコントロールを失ったり、依存症や摂食障害などの精神障害につながったりします。 特に発達障害やうつ病ではこの自尊心が育っていない、欠如していることが多いといえます。

こうした場合に親が出来るサポートは、「当たり前でも褒める」ことです。
子どもの行動で出来て当たり前と思うことが行われたときにも、ほめることが大切です。
良くないことはしかるよりも、無視しましょう。
算数、国語、歌、体育、手伝い、掃除など学校でほめる機会はいくらでもあります。
悪いことばかりに注目するのではなく、常に子どもの良いことがいえるようになりましょう。

発達障害の基礎知識

発達障害の原因は、脳機能(認知)の障害です。
親の育て方やしつけが原因でもなく、精神疾患でもありません。

見聞きしたものを理解し、記憶する、過去の経験に照らして、計画を立ておこなうといった、脳のさまざまな機能のことを「認知機能」と呼びます。発達障害がある子どもの脳にはこの認知機能に、かたよりがあることがわかっています。

認知機能に障害が起こる主な原因

1. 遺伝的素因

脳機能の障害は、もって生まれた遺伝的な素因が大きく関係しています。

2. 環境要因

いじめ、虐待など人間関係で生じるストレスが脳の働きに影響することもあります。

発達障害の3つのグループ

発達障害は大きく3つのグループに分類されます。

発達障害の3グループ

それぞれに医学的な診断基準があり、その特徴も異なります。

また、3つのグループはその概念が生まれた源が異なるため、重なり合う部分も多く、どう診断するかも、機関によって異なることがあります。

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